毎年、妙円寺詣り前日には、伊集院町徳重神社の境内で、たくさんの郷土芸能が奉納されます。一通り整理ができましたので、ここで日置市の太鼓踊りを俯瞰してみたいと思います。
●伊集院町徳重大バラ太鼓踊り(いじゅういんちょう・とくしげ・う・バラ - )
バラ(丸口箕のことで、農具の一つ)を張り合わせた大きな太鼓を叩き、勇壮に踊る太鼓踊りです。
伊集院町徳重大バラ太鼓踊り |
●大田太鼓踊り(伊集院町)
城攻めの様子を踊りにしたと言われ、「道行き」から「総舞攻め」まで15の場面で構成されています。腰に長い木刀を指しているのが特徴です。
大田太鼓踊り |
●伊作田踊り(東市来町・いざくだ)
伊作田地区で3年に1度踊られる太鼓踊り系芸能です。室町時代の伊作田城主伊作田殿を慰霊し、豊作・豊漁を願うものとされています。
伊作田踊り |
●吉利太鼓踊り(日吉町・よしとし)
色紙の飾りを付けた4メートルの矢旗を背負って踊る勇壮な太鼓踊りです。虫送りの意味があり、豊作祈願の踊りです。
吉利太鼓踊り(北区) |
●伊作太鼓踊り(吹上町・いざく)
背中に大きな唐団扇(とう うちわ)を背負って踊る、勇壮な太鼓踊りです。
伊作太鼓踊り |
●まとめ
徳重大バラ太鼓踊り | 大田太鼓踊り | 伊作田踊り | 吉利太鼓踊り | 伊作太鼓踊り | |
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概要 | 元は7/23日吉神社と徳重神社 | 元は旧6/12神明神社 | 元は旧7/1伊作田殿墓前 | 新8/23吉利南方神社 | 新8/28伊作南方神社 |
構成・隊形 | 鉦10・入れ鼓4・大太鼓10 二重円陣が基本。マクリも。 | 鉦8・入れ鼓2・大太鼓15 縦列が基本。 | 庄屋ドン1、踊り子(鉦5・入れ鼓2)、中入り20・薙刀10、大太鼓18。三重円陣。 | 鉦2・入れ鼓2・大太鼓20 二重円陣が基本。 | 鉦2・入れ鼓2・大太鼓24 二重円陣が基本。 |
鉦 | 白衣・陣羽織・陣笠、鉦・撞木 | 白衣・陣羽織・陣笠、鉦・撞木 | 男物着物・鶏羽笠、鉦・撞木 | 紺の着物・花笠、鉦・撞木 | 紺の着物・花笠、鉦・撞木 |
入れ鼓 | 振袖・花笠、小太鼓・桴 | 浴衣・花笠、小太鼓・桴 | 女物着物・鶏羽笠、小太鼓・桴 | 緑・青の着物・花笠、小太鼓・桴 | 朱の着物・花笠、小太鼓・桴 |
大太鼓 | 白衣・鉢巻。一人のみ巨大な幟旗を背負う。太鼓(127cm)・桴(70cmユスノキの枝) | 白衣・模造兜・木刀差し。 矢旗(白紙のシベ束) 太鼓・桴(40cmムベ) | 白衣・菅笠。 矢旗(色紙と鶏羽飾り) 太鼓・桴(50cmワラ) | 白衣・鉢巻 矢旗(色紙・鶏羽飾り) 太鼓・桴(42cmムベ) | 白衣・鉢巻 矢旗(唐団扇) 太鼓・桴(40cmムベ) |
歌い手 | ― | ― | 中入りが歌う。「サバエ(稲虫サベ)」「サネモイドン(斎藤実盛殿)」など | 外と中の円陣の間に入る。保存会の法被姿。 | 外と中の円陣の間に入る。保存会の法被姿。 |
由来・意義 | 御霊信仰・虫送り。 (島津義弘の御霊を慰める) | 城攻めの様子を踊りにした。「道行き」から「総舞攻め」まで15場 | 御霊信仰・虫送り。(伊作田兵部太夫道材の御霊を慰める) | 虫送り。 | 虫送り。 |
大田太鼓踊りや伊作田踊りは多人数で構成が複雑ですが、いずれも、虫送り→豊作祈願の踊りであることがわかります。徳重大バラ太鼓踊りや伊作田踊りのように、地域の偉人の御霊を慰め、その力にあやかって害虫退散を願う伝承も聞かれます。
日置市の太鼓踊りは、夏の暑い時期に、しなりのある長い桴で太鼓をたたき、稲の害虫の退散を願う踊りであると言えるようです。
日置市の太鼓踊りは、夏の暑い時期に、しなりのある長い桴で太鼓をたたき、稲の害虫の退散を願う踊りであると言えるようです。