新川の水神祭り

金峰町高橋のヨッカブイと同じく、かつて加世田高橋(もと田布施村)の新川にも、水神祭りで水難除けのガラッパ(河童)相撲があった。現在の行事は、水神祠での神事と公民館での直会だけになっている。新川の水神祠には、明治十六年八月三十日建立と刻まれている。
新川河口(中央手前の森に、水神が祭られている)
新川水神祭り
お供えにガラッパの好きなキュウリやナス、トイモガラ
ガラッパ相撲に使った道具類

相撲があったころは、午前中にホラ貝の合図で公民館に集まり、唐人塚川右岸(岩の平)の水神にお参り。水神南側の広場でまずガラッパ相撲を取った。その後、弓取りに使う弓に軍配をくくりつけ、年長者(頭。中1・旧高等科)から順に並んで新川橋を渡り、船場地区の新川河口、元の春成荘の前(今のサンセットブリッジのそば)まで行進した。「コーノヨー、ホイホイ」などという唄を唄いながら行ったという。新川河口では婦人会の皆さんがトイモガラの酢の物など、手作りの素朴なごちそうをふるまってくれた。
昼食後、相撲大会。相撲甚句もあり、三段跳びや肩車などアクロバットのようなものもあったという。相撲は、下級生が赤ふんどし、上級生が白ふんどしをつけた。しこ名には、新入りの「コスズメにコヤナギ」から「金峰山に野間ん岳」「川内川に万之瀬川」「サダッキャアメ(通り雨)にヤブレガサ」「天竜川に大井川」、頭クラスの「日向灘に玄界灘」と続き、大関「錦岩」で終わる。弓取り式も行われた。
今も、錦岩の化粧回し、軍配(42×15cm)、ホラ貝長さ(27×14cm)、弓取りの弓(長さ270cm竹製)などが、公民館で大切に保管されている。

●調査地:鹿児島県南さつま市加世田高橋 新川集落
●日時:2013年8月4日午前10時から(もとは、旧暦6月28日)