民俗写真で振り返るこの一年 - 春の祭り

春の伝統行事は2/11(建国記念日)の御伊勢講から調査を始めました。今年は、南さつま市笠沙町小浦の御伊勢講と加世田小湊に行きました。小湊の御伊勢講は、「疱瘡踊り」だけの年と「馬方踊り・疱瘡踊り」と通しでやる年が毎年交代であります。何度か拝見していますが、いつも疱瘡踊りだけの年で、「馬方踊り(茶屋ん嬶)」を見たのは、20年ぶりでした。来年2013年は疱瘡踊りだけになりますね。
加世田小湊の御伊勢講「茶屋ん嬶」の踊り子
2012/02/11 PENTAX K-5 ISO200 1/60 F2.8 25.6mm  TAMRON 17-50mm F2.8(A16)
→動画:小湊の馬方踊り(茶屋ん嬶)

2月19日は、鹿屋市吾平町山宮神社の春祭りを見に行きました。初めて見た大隅の伝統行事です。南薩の御伊勢講も同じですが、ここでも棒踊りが盛んに行われていました。棒踊りが、春に土地に活力を与える郷土芸能であることがよく分りました。カギヒキや牛の出る田遊びも大変賑やかでしたが、最後に籾を撒き、豊作祈願の春祭りであることが理解できました。
吾平町山宮神社の春祭り
2012/02/19 PENTAX K-5 ISO100 1/250 F5.6 42.5mm  TAMRON 17-50mm F2.8(A16)
→動画:山宮神社の春祭り

翌週は、いちき串木野市羽島崎神社の太郎太郎祭りを見に行きました。学生時代以来20年ぶりの見学です。もっと厳かで晴れやかな印象でしたが、ここでもテチョ・太郎の操る牛が大暴れ。農耕予祝儀礼「田遊び」の賑やかさが増していますね。それでも、船持ち習俗の荘厳さは逸品です。
羽島崎神社春祭りに伴う芸能(船持祝の船歌)
2012/02/26 PENTAX K-5 ISO100 1/180 F4.5 38.1mm TAMRON 17-50mm F2.8(A16)
→考察:鹿児島の春祭り(鹿児島の田遊び)
→解説:羽島崎神社の太郎太郎祭り - 鹿児島祭りの森


3月から4月にかけては、南さつま市金峰町の史跡を巡りました。タノカンサア(田の神さま)などを、一つずつ実測・撮影して回りました。4月29日には、尾下の御田植踊りがありますが、いつも砂の祭典と重なって、なかなか見られません。今年はなんとか調査することができました。

5月にイベントで披露された南さつま市笠沙町の「市崎木場棒踊り」、6月に拝見した日置八幡神社・吉利鬼丸神社のセッペトベと、いずれも豊作祈願に棒踊りを奉納する意味がよく分りました。

鹿児島の春祭りでは、牛の出てくる賑やかな田遊び系郷土芸能と、勇壮な風流系郷土芸能の棒踊りとが、土地土地で変容しながら多彩な習俗を繰り広げています。