豊穣の笑み - 笠沙恵比寿特別企画展

南さつま市笠沙町の笠沙恵比寿で、各地のエビス神像を実物やパネルで紹介する展覧会が開催されています。

平成18年度笠沙恵比寿特別企画展「豊穣の笑み―恵比寿様の素顔―」
●期間:2007年1月20日から3月25日
●開館:午前9時から午後5時まで
●場所:南さつま市笠沙町野間池地区
●電話:(0993)59-5020

今日、特別展を拝見してきました。
実物展示には野間池の網元森家のエビス神像二体、出水市吉田家で祀られていたエビス神像1体、その他近年製作されたエビス・大黒木像などが展示されていました。このうち、森家の二体(写真)は、幕末から明治に薩摩焼発展に尽くした第12代沈寿官が制作した見事な白薩摩のエビス像です。当時の笠沙地区における漁業の隆盛が垣間見られます。展示では、普段見ることの少ない背中側も拝見できます。「薩摩壽官製」の銘があります。
また、パネル展示では、坊津から加世田まで南さつま市内のエビスを一同に集め、写真と分布図で紹介しています。野間半島南岸の坊津では海中の石をご神体にしたものがあり、一方北岸の野間池から大浦にかけては神像型のエビスが祀られているようです。加世田地区では小松原(藩政時代の浦町)・向江(藩政時代の野町)・恵比寿通り(現在の本町商店街)の恵比寿が紹介されています。
今回の企画展は、合併後初めて新市全域の文化遺産を体系化しようとした取り組みです。笠沙だけでは見えにくい笠沙文化の豊かさ、坊津だけでは分かりにくい文化史の発展過程を、広域地域として新たに読み解くための作業が始まったように思いました。他の施設もこうした取り組みを期待したいものです。