油津の龍頭付き十五夜綱

宮崎県日南市油津の十五夜綱は,龍の頭を模した飾りが付いた綱です。

昨晩まで坊津の十五夜行事を追いかけていましたが,十六夜(いざよい)の今日は,宮崎に行ってみました。油津の十五夜には,数年前お邪魔したことがありますが,折りしも台風接近中で,中止になり,作り置かれていた綱の頭部のみ撮影してその日は帰りました。ただ,その綱は龍の形に作られており,実にショッキングな綱でした。今回ようやく全容を見ることができたわけです。

綱引き行事は,油津港の漁協前で,午後5時30分から①神事②餅撒き③小学生対中学生の綱引き④一般参加の綱引きの順に行われました。

興味が持たれたのは,とぐろ状に撒かれ,龍頭(りゅうがしら)を付けた十五夜綱です。龍頭の大きさは,高さ45センチ,長さ70センチ,幅50センチ。綱は7段に巻かれ,全体の高さは140センチにもなっていました。前回は気付かなかったのですが,龍頭には稲穂が眉状にたれ下げられていました。稲穂は神事の後,地区の人々に配られます。豊漁・豊作の願いを込めて各家で供えられるとのことでした。

綱引きの綱は長さ50メートル。大綱を引くのではなく,綱につけられた市販品のロープを引きます。惜しくも敗者となった中学生組は,罰ゲームとして油津中学校の校歌を元気に歌い上げました。

昨晩まで坊津の口説き歌を聞いていましたので,何か味気ない気もしてしまいましたが,これも素朴な変容の一つ,あるいは地域性・風土性の表れとして,素直にとらえないといけないと反省しながら南さつまに戻ってきたところです。