吹上の水車カラクリ

日置市吹上町伊作地区の吹上温泉祭り(湯之権現六月灯)で,水車カラクリが披露された。
写真帖:2006吹上温泉水車カラクリ

毎年7月下旬の日曜日に行われる吹上温泉祭りで,水車カラクリが披露される。この祭りは,南湯之元地区に祀られている湯之権現の六月灯が発展したもの。

現在は,中島温泉そばの吹上温泉広場の入り口に,カラクリ用の公園が設けられている。祭りの日には,その公園内の用水路にカラクリ舞台が設置される。用水路は,湯之元川から引き込んだもの。かつては,同じ用水路の数百メートル下流にある南湯之元公民館前に,掛けられた。

水車は直径約90センチ。水面に水平に設置。幅1メートルほどの用水路の80%ほどを斜めに仕切り,一方の岸のほうに水の流れを寄せ,水車を回転させる。水平回転する水車の力を,軸をとおしてそのまま舞台の上に伝える。舞台の上には,加世田のトンボと同様の台が置かれている。その台に等身大の人形を設置。水平回転のみ。

松村博久・門 久義の報告によれば,少なくとも明治の終り頃には行われていたという。昭和11年頃までは続けられており戦争で中断,昭和60年に復活したという。(「日本におけるカラクリ人形の技術的考察と知覧の水からくりの技術的調査」,『薩摩の水からくり』所収,知覧町教育委員会文化財課,1997年)

今年の演題は「どじょうすくい」。12時に撮影したが,「日に焼けるとかわいそうなので」人形は,ほお被りをしている。

●場所:日置市吹上町湯之浦南湯之元集落 吹上温泉郷
●日時:祭りは毎年7月下旬の日曜日,午後6時30分から
●参考:水車からくり一覧表 - 鹿児島の民俗
2011追記:解説「吹上の水車からくり